エイズ診療拠点病院
エイズ診療拠点病院
2022年7月情報更新
エイズ診療拠点病院とは、地域におけるエイズ診療の中核的役割を果たすことを目的に整備され、様々な症例に対応可能な、総合的で高度な医療を提供する病院のことです。カウンセリング体制の整備などの総合的なエイズ診療の実施だけではなく、地域の他の医療機関との連携や職員の教育などを行うこととされております。
HIV感染症/エイズ(AIDS) の治療
当院におけるHIV/エイズ対象患者さんは、いろいろな方が来院されます。
それぞれの症例における診療の流れを中心に説明いたします。
- HIV感染症心配症例(心当たりがあって不安になり検査目的で来院)
- HIV感染症可能性例(他の医療施設における検査でHIV感染が疑われ来院)
- エイズ発症例(ニューモシスチス肺炎などエイズを発症して入院)
それぞれの症例における診療の流れを中心に説明いたします。
1. HIV感染症心配症例
種々の情報から心配になり来院されます。当院では、院内で「HIV 1+2の抗原・抗体スクリーニング検査」を行っており、結果は当日中に判明します。万が一結果が陽性であっても、実はHIV感染症が確定するわけではありません。検査の偽陽性が意外と多く、「スクリーニング検査での陽性はHIV感染の可能性が少しあるという程度の意味」であることに注意が必要です。確認検査には「PCR法」を院内で行っています(結果判明は数日から約1週間程度頂いております)。一方、スクリーニング検査での陰性は、HIVに感染していないと言えます。2. HIV感染症可能性例
病医院や保健所などでHIVスクリーニング検査や抗体検査で陽性を認めたということで紹介来院されます。上述した通り、正式な確認にはPCR検査が必要ですので、もし検査が行われていなければ実施します。確定診断されたあとには、治療を開始するか相談します。近年は、できるだけ早期に治療開始することで、心血管他の合併症を抑え、かつ、他の人へのHIV感染を抑えることが期待されており、外来で相談して治療導入を決定します。3. エイズ発症例
数年の無症候期を経た後、CD4値が著しく低下し日和見感染症を発症するとエイズとなります。エイズを発症した患者さんは、疾患の部位に応じた診療科(ニューモシスチス肺炎ならば呼吸器内科、カポジ肉腫ならば皮膚科、クリプトコッカス髄膜炎なら脳神経内科など)で治療を行います。またエイズが改善し外来治療が可能な状態まで回復すると、感染症科・感染制御科の外来で抗ウイルス治療を行います。新しい抗ウイルス治療
治療薬は、単一成分だと容易に耐性化することが知られています。そのため、NRTI(核酸系逆転写酵素阻害薬)、NNRTI(非核酸系逆転写酵素阻害薬)、PI(プロテアーゼ阻害薬)、INSTI(インテグラーゼ阻害剤)などを併用して内服します。以前は、副作用を懸念しながら1日10錠以上を内服することが必要でしたが、近年の内服の治療の多くは、1日1錠から2錠のSTR(single tablet regimen)が主流で、副作用もほぼみられません。治療薬は色々な種類がありますが、まずなにより治療を継続していただくことが大切です。患者さんの生活習慣や体調に合った治療法を選択できるようにサポートしております。
また、2022年には筋肉注射による治療が可能になりました。画期的なこの治療は1~2か月に1回程度受診して筋肉注射をすることで、内服しなくて済みます。当院でも治療を導入する予定です。詳しくは感染症科・感染制御科外来にてご相談ください。
抗HIV薬の曝露前予防内服(PrEP)
近年、HIV感染のリスク行動(例:コンドームなしのSex、など)を行う方が、自分で抗HIV薬を輸入して、リスク行動の前などに内服する曝露前予防内服PrEP(Pre Exposure prophylaxis)が都内病院などで開始されています。日本の保険医療制度では、未だ認められておりませんが、自費診療として定期的に病院で血液検査などを行うことが可能です。予防内服をすることによって健康被害が出ないように、HIVの検査、他の性感染症の評価、副作用の評価を実施いたします。詳しくは感染症科・感染制御科医師にご相談ください。
抗HIV薬の曝露後予防内服(PEP)
リスク行動をした後(曝露後)に抗HIV薬を内服することで感染を防ぐことを曝露後予防PEP(Post Exposure Prophylaxis)といいます。こちらも日本では未承認であり、自費診療にはなります。暴露後72時間以内に抗HIV薬を内服することが必要です。詳しくは感染症科・感染制御科外来にてご相談ください。
「HIVサポートチーム」による患者さんのサポート体制
平成18年1月より、エイズ対策委員会(委員長:前﨑繁文 感染症科・感染制御科教授)指導の下、HIV/エイズ患者さんに関わるあらゆる職種のスタッフを対象に、HIVサポートチーム(HIV-infected-patient support team:HST)を組織致しました。
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染した人の多くは、さまざまな社会的背景をもっていることも多く、最初にHIV感染症と判明した時には、いろいろな不安や心配を抱えています。また、治療を開始したあとも、順調に治療できる人もいれば治療がうまくいかない人もいます。そのような多様な問題を受け止め、治療に結び付けることができるよう、看護師や薬剤師、臨床検査技師、ソーシャルワーカーなど多職種のスタッフが一丸となって、プライバシーに十分配慮しながら、通院される患者さん一人一人のサポートをいたします。
また、当院はエイズ診療拠点病院であり、さまざまな合併症を持つエイズ患者さんの治療を行っていますが、どの診療科に入院されても、無事外来通院できるようHSTがサポートいたします。
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染した人の多くは、さまざまな社会的背景をもっていることも多く、最初にHIV感染症と判明した時には、いろいろな不安や心配を抱えています。また、治療を開始したあとも、順調に治療できる人もいれば治療がうまくいかない人もいます。そのような多様な問題を受け止め、治療に結び付けることができるよう、看護師や薬剤師、臨床検査技師、ソーシャルワーカーなど多職種のスタッフが一丸となって、プライバシーに十分配慮しながら、通院される患者さん一人一人のサポートをいたします。
また、当院はエイズ診療拠点病院であり、さまざまな合併症を持つエイズ患者さんの治療を行っていますが、どの診療科に入院されても、無事外来通院できるようHSTがサポートいたします。
他の医療機関との連携
近隣の病医院や保健所からの相談を随時受け付けております。
また埼玉県内の各エイズ診療拠点病院と定期的に情報交換を行っております。
また埼玉県内の各エイズ診療拠点病院と定期的に情報交換を行っております。