木崎昌弘

 埼玉医科大学大学院医学研究科は昭和53年に開設されました。その目的は、高度で最先端の基礎的・臨床的医学研究に従事し、豊かな学識をもつ優れた医学・医療の指導者を育成することにあります。この目標を実現するために大学院医学研究科博士課程では、大学院教育の実質化を目指してこれまで多くの機構改革や見直しを行って参りました。さらに、平成22年には医学研究科医科学専攻修士課程が開設されたことにより、大学院の運営に関する体制の見直しも行い、より強力な指導体制を構築してまいりました。

 大学および大学院の活力は何といっても若い力の結集にあります。埼玉医科大学が最先端の医学研究を推進し、地域に根ざしたより高度な医療を展開するためには、大学院に集う若い力をいかに結集させ、ひとりひとりの力を伸ばし育成できるかが大きなポイントです。埼玉医科大学ではこれまで社会人大学院生や外国人特別選抜枠の開設、種々の奨学金制度の充実などにより、より多くの若い医学・医療者への門戸を開いて参りました。学内での研究マインドの醸成を目的に多くの議論を行ってきましたが、その1つの方策である医学部卒業と同時に社会人大学院生として初期臨床研修医を受け入れる「研究マインド育成自由選択プログラム」が実際に運用されるようになりました。初年度である平成25年度は、医学部卒業生のうち5名を迎えました。本プログラムの成功は本学の将来を左右すると言っても過言ではありません。指導教員はもとよりすべての大学院教員の協力のもと、研究マインドを持って本プログラムにチャレンジした学生の能力を最大限に延ばし、優れた臨床医や国際的視野に立った研究者を育成したいと考えております。本プログラムを実施するに際し、同時に大学院博士過程の入学試験のシステムも大きく変更いたしました。まず、語学試験は医学部3年生から受験可能とし、学生のうちから大学院教育への意識を自覚するとともに、「研究マインド育成自由選択プログラム」を希望する学生には早くから準備できるようにしました。また、これまで学力試験(英語)のみで合否を判定しておりましたが、平成25年度入学試験より、学力試験、専門領域試験、志望理由書をもとに総合的に合否を判定することとし、大学院入学を希望する者がより入学し易いシステムとしました。さらに大学院生の指導体制も強化いたしました。すなわち、実際に大学院生の研究を指導し、論文審査を行う指導教員の資格審査を厳格に行うとともに、論文審査を公開制で行いことにより透明で適正な審査体制を構築いたしました。また、最終年度である大学院4年次には、それまでの研究成果を指導教員も出席のもとに「研究成果報告会」で発表し、多くの教員や大学院生、学部学生と議論することで、より良い学位論文の完成を目指す仕組みも取り入れました。

 埼玉医科大学大学院医学研究科博士課程の果たすべき社会的使命は、絶えず変容し複雑化する社会にあって、ゆるぎない信念の基に、高い倫理観と生命に対する深い愛情と畏敬の念を持った温かい医師・医療者を育成するとともに国際水準の質の高い医学・医療を実践することで、社会に貢献することであると考えます。そのために平成25年には、埼玉医科大学大学院医学研究科博士課程の理念を「大学院ポリシー」として制定いたしました。私たちは、大学院医学研究科博士課程に集う多くの若い力が、大きな夢を持ち、お互いに切磋琢磨して大きく育ってくれることを願っています。

 学内外から多くの夢を持った人材が埼玉の地に集い、本学が尚一層飛翔することを期待しています。

平成27年4月1日
医学研究科長 木崎 昌弘