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6年一貫・統合教育

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コース&ユニット制で総合的に医学を学ぶ

従来の医学部では、内科学、外科学というように、学問体系ごとに医学を学んできました。これを臓器別・系統別に統合し直したものが「6年一貫・統合教育」です。医学を学術分野ごとに編成するのではなく、機能別・臓器別に統合的に学習するため、医師となり患者さんに接した際、内科、外科等の学問体系にとらわれることなく、多角的に病める人を診る目を養うことができます。また、増加の一途をたどる医学・医療の知識、臨床医として必要な技能と態度を効率的に習得することが可能です。
たとえば肝臓について学ぶときは、病理学、内科学、外科学というように、その臓器を中心にさまざまな角度からアプローチしていきます。そして、一つの臓器・系統について、スパイラルを描くように6年間を通して繰り返し学ぶことにより、効率的に知識の集積を行うことができます。「疾患を診断し、治療する」という実際の臨床現場を考えれば、学問体系で学ぶよりもはるかに実践的かつ現実的な学び方です。埼玉医科大学では、この「6年一貫・統合教育」を毎年進化させ、常に最善のカリキュラムで学生の学ぶ意欲にこたえています。

すぐれた臨床医をめざしての写真

すぐれた臨床医を育む8つのコース

1.人体の構造と機能

人体の構造と機能と学習する上で基幹となる概念を理解します。臨床医学を学ぶための基盤として、人体の各器官系、血液系の構造と機能について理解し、また、遺伝に関する基礎的な知識を修得します。

2.医科学への道すじ

医師になるために自然科学を学びます。自分が自然科学の基礎知識として何を学んできたのかを確認し、それを人の科学として生かしていく方法を見いだし、自らテーマを決めて深く掘り下げることによって、自己学習のスキルを身につけます。

3.細胞生物学

「考える」という過程を軸にして、細胞生物学をより深く理解し、人体について学習へと導いていく役割を持つコースです。全体のまとめとして、本学ゲノム医学研究センターで行われている最先端のゲノム医療の研究が紹介されます。

4.医学の基礎

医学を学ぶうえで、英語、物理、化学、数学、基礎科学実験の知識が必要なことは言うまでもありません。これらの基本的な力を学ぶコースを「医学の基礎」と名づけているのは、医学と結びつけて推論する力を磨くことに力点を置いているためです。

5.良医への道

第1学年から第4学年まで段階的に続く重要なコースです。優れた臨床医となるために、豊かな人間性、幅広い社会的・国際的視野、探求心と科学的思考能力を備えた医師となる素地を養います。また、臨床推論力・臨床技能も修得していきます。

6.ヒトの病気

臨床医学の基礎について学びます。5学年の臨床実習を円滑に行うために、診療に関する基本的な事項や臓器別ユニットで各分野の疾患について基本的な知識を学び、最後に臓器横断的な学習を行うことで、臨床医学の基礎的な知識・考え方を修得します。

7.病気の基礎

基礎医学から、臨床医学や社会医学への橋渡しとして設定されているコースです。臨床医学や社会医学を学んでいくうえで必要な基礎について学びます。主に病理学と薬理学の総論的事項、感染、免疫、疫学を学び、「ヒトの病気」コースへ発展させます。

8.社会と医学

常に社会的視野を持ち、医療・医学を通して国民の公衆衛生の向上に資するための知識を修得します。

「6年一貫・総合教育」によるカリキュラム

「6年一貫・統合教育」によるカリキュラム

※1)臨床推論:CPC(Clinical-Pathological Conference)を含む。
※2)BSL:Bed Side Learning. CC:Clinical Clearkship

1学年

6年間の医学教育のスタートとして
基礎学力と心構えを身につける

医科学入門

1学年の写真1自然科学としての医学を学ぶためには、自らの持つ知識を人体に当てはめて考え、理解を体系化していくことが必要になります。この過程を実習によって体験することで、基本的な学習方法を身につけるのが「人体の科学入門1」です。授業では学生が24のグループに分かれて、それぞれが2つずつのテーマで実習を行います。テーマには「立ちくらみを感じた」「脳梗塞で倒れた」「熱中症を予防したい」などの具体的な症例が与えられ、各グループを担当するテューターに導かれながら、グループ全体で討論と実験を行います。その結果は各自がレポートとしてまとめます。

細胞生物学1-1

1学年の写真2生命の基本をなす細胞の性質を把握する「細胞生物学」コースの中で、最初に学ぶのが「細胞生物学1」ユニットです。教科書に基づいて講義を聞きながら学ぶだけではなく、細胞の構造や、核酸およびタンパク質の性質を実感する体験学習をとり入れています。また、高校で生物を履修しなかった学生に配慮をした授業を行っています。2学期以降に行われる「細胞生物学2」「同3」「細胞生物学実習」とあわせて、基礎医学と臨床医学につながる細胞生物学の知識と概念を学びます。ここでの学びが最先端のゲノム医療へとつながっていきます。

臨床入門

1学年の写真3医学を学び、その成果をすぐれた医療人として実践できるようになるため、医学を学習することへの関心を高めるとともに、医学生として備えておくべき基本的な臨床技能を修得します。学生は12班に分かれて、埼玉医科大学の3病院のいずれかを見学。医療人としての自覚を高め、病院の成り立ち、主要な部署の役割などについて学びます。また毛呂キャンパス内にある「薫風園」において高齢者と交流したり、「光の家」において障害者の保健・医療・福祉・介護のニーズについて考える機会もあります。さらに、バイタルサインの測定方法や患者さんとのコミュニケーションに関する基本的な能力も身につけます。教員の指導のもとに、埼玉医科大学が養成している模擬患者さんとの会話を通じて医療面接の基礎についても実習します。

1学年 カリキュラム

コース ユニット



医科学への道すじ 医科学入門,科学的思考と表現,自然科学の基礎,医科学の探索
細胞生物学 細胞生物学 1, 2, 3, 実習
人体の構造と機能1 人体の構造と機能 1, 2
人体の基礎科学 人体の基礎科学 1, 2
良医への道1 行動科学と医療倫理,キャリアデザイン,社会医学,臨床推論, 臨床入門, 医学英語1, 2, 3, 選択必修

1学年担当教員 森 茂久 教授

能動的な学習を身につける大切な1年です。

教授1学年の学びの狙いは、高校や予備校での受動的な学習から、大学での能動的な学習へ転換を図ることです。さらに、医学を学ぶ基礎学力を養成しながら、一般教養を身につけ、医師になるモチベーションも高めていきます。
すぐれた臨床医になるには現場での学びが重要ですが、そこで自分にとって何が足りないのか身をもって体験してください。それを自ら感じとることが、能動的学習の原動力になります。もうひとつ大切なのは「気づき」です。問題を自分で考え解決するのが医師の仕事。そのために、じっくり考えてもらいます。知識を与えるよりも、考える道筋を教える方が知識は定着するからです。
勉強量は学年が上がるにつれて増えていきますから、1年生のうちに早く大学生活に慣れることも必要です。クラブ活動などを通してよき友人、先輩との絆を築き、助け合いながらすぐれた臨床医への道をスタートしてください。

橋本 雄太さん (取材時2年生)

「師弟同行」のもと医学への取り組み方を学びます。

1学年を振り返っての写真入学して感じたことは先生との距離の近さです。どの先生もフランクで質問もしやすく、自分の知識を深めることができました。授業以外で先生のお話を伺える機会も多く、「師弟同行」を掲げている埼玉医科大学ならではのメリットだと思います。また、1学年を通して成長したのは、コミュニケーションの大切さに気付いたこと。「良医への道」コースの一環で、重症心身障害児(者)の施設実習をした際、言葉では思いを伝えることができないため、目の動きや肩に手を置くなどのスキンシップで感情を読み取りました。初めての経験だったのでコミュニケーションとは何かを深く考えるきっかけになりました。これからも授業・実習で体験したことを糧に、目指す医師像に近づくよう成長していきたいと思います。

2学年

正常な人体について学び、
得た知識を統合する力を養う

エネルギー系

2学年の写真1従来は代謝、組織・発生といった総論や、呼吸器、消化器といった臓器別 に分かれていた14のユニットを統合的に学ぶために3つのユニットに再編成。そのうちのひとつが「エネルギー系」ユニットです。
主要な臓器・器官・器官系の仕組みの個別性と共通性を、構造・機能・物 質的基盤の面、および発生過程における時間的発展の面から理解し、生理的な働きを理解します。そしてその変化形である疾患時の病態生理を理解するための基盤を培います。
重要なことは「すべての臓器・系が統合されたものが人体」ということであり、同じ「人体の構造と機能」コースで学ぶ「調節系」「情報系」との相互のつながりも理解していきます。

薬理総論

2学年の写真2臨床で使用される薬物を理解するための基本的な知識を習得するユニットです。医師となった際に遭遇する薬物の問題点や特質を理解し、臨床で応用する力を養います。
講義では、薬理作用と薬物受容体の関連を理解することから始まり、薬物の体内動態の過程、薬物の副作用および中毒発現の原因と対処法、代表的な化学療法薬の特徴までを習得します。
後半に行われる実習では、学生が複数のグループに分かれ、3つの課題をローテートしながら薬物の作用について理解を深めます。

医学英語

2学年の写真32学年の「医学英語」には、英語の基礎的な成り立ちや用語・文章中の使用例を学習する「医学英語基礎コース」、および健康・保健・医学に関する話題をもとに英語によるコミュニケーション法を学ぶ「会話コミュニケーションコース」という2つのコースがあります。
現代の医師には、医学論文を読解して最新の医学情報を入手するだけでなく、英語を話す患者さんの診療、海外の医療関係者とのコミュニケーションのために高い医学英語力が求められます。
そのため授業では、臨床に深く関わる教材を用いて精読・作文・会話・討論・発表を行い、実践的な医学英語力を身につけます。

2学年 カリキュラム

コース ユニット



細胞生物学2 細胞生物学2実習、疾患の理解に役立つ細胞生物学
人体の構造と機能2 エネルギー系、調節系、情報系、構造系実習、機能系実習
病気の基礎 病理総論、薬理総論
良医への道2 医学概論、臨床推論、臨床入門、医学英語、選択必修

2学年担当教員 渡辺 修一 教授

プロとして最高の学びをめざしてください

2学年では、正常な身体――臨床医学を理解するために必要な“基本的な人体の構造と機能”を学習します。病気を知るには、正常な身体を知ることが土台になるためです。同時にすぐれた臨床医となるため、人間性を育み、病める人の気持ちを理解し、共感できる態度も養います。
学生に望むのは、1学年で身につけた能動的な学習態度を習慣化すること。私は学年の始めに、「君たちは自由だ」とよく話します。医師というプロフェッショナルな仕事に就くのですから、つねにベストをめざして自分で垣根をつくらないでほしいと思います。「2年生だから、上の学年の教科書を読む必要はない」ということはありません。教員は「先生と生徒」という捉え方はしません。数年たったら同じ「医師」です。むしろ、我々を追い越していくことを期待します。“とことん”勉強してください。迷ったらいつでも研究室へどうぞ。

椎名 梨佳 さん(現3年生)

多面的に問題を捉えて、解決に導く力が身につきました

2学年を振り返っての写真2学年になると学ぶ量はもちろん、内容も濃くなり、試験も数段難しくなります。友達とお互いに採血の練習をしたり、「構造系実習」(解剖実習)をしたり、臨床的な授業も増えてきます。ややもすると挫けそうになりますが、同じ医学を学ぶ仲間と議論しながら、多面的に問題を抽出したり、課題を解決する方法を身につけていけば、必ず乗り越えることができます。そのためには、積極的に学ぶ姿勢が大切で、あらかじめ学ぶべき範囲が決まっているというものではありません。図書館やインターネットで2学年という枠にとらわれずに学んだ結果、知識と知識がつながることがあり、とても楽しく感じます。大変だと思いながらも逃げることなく仲間と勉強を続けた結果、精神的な強さも身につけることができました。

3学年

本格的な臨床医学の学習がスタート、
患者さんを全人的に診る力を磨く

感染

3学年の写真1感染症を学ぶための基礎として、150種以上にもおよぶ感染性微生物と病害動物について学びます。微生物学の知識が臨床の場でどのように活かされるか理解できるように工夫しているのが特長です。たとえば配布テキストには症例に基づいた説明を入れ、講義の最後には「症例検討」というタイトルでケーススタディを中心に復習とまとめを行います。
実習でのレポート作成の経験は、将来の臨床記録作成にも役立つため、観察と考察、記録の方法を指導し、レポートの添削でフィードバックします。

診療の基本

3学年の写真2個々の臓器・系に関する臨床医学を学習する準備として、各ユニットに共通する基本的な症候、検査、治療について学びます。「疾患の病因・病態」「医の倫理とヒトの死」「実際に行われる診療の流れ」を理解した上で、「けいれん」「頭痛とめまい」など基本的な症候について説明する力、「MRI検査」など、さまざまな検査、外科的治療の概略について説明する力を身につけます。
多くの授業は、総合心療内科スタッフが担当。領域横断的な講義を行い、医学部3年生の臨床医学への入門コースとして、単一臓器や疾患にとらわれない幅広い診療視野の習得を目指しています。

医学概論

3学年の写真3「良医への道」コースの中で1〜4学年を通して学ぶユニットです。どの学年も「豊かな人間性・社会性を持った医師となるために、医学や医療の抱えるさまざまな問題を自ら考え、判断していく材料となる基本的な事項を理解する」ことを目標にしています。
とくに3学年では、臓器移植、性同一性障害などの生命倫理、医療の危機管理、医薬品の安全対策や新薬の開発、東洋医学などを学習。医療に対する現実的な理解と、医師として身につけるべき能力を涵養することが期待されます。
法律や行政、コミュニケーションなど、人文社会科学に属する内容については、それぞれの分野の専門家が講義を行います。

3学年 カリキュラム

コース ユニット



病気の基礎2 感染、免疫、疫学
ヒトの病気1 臨床医学の基本 診療の基本
臓器別の病気 呼吸器、循環器、消化器、血液、腎・泌尿器、生殖器
総合的な病気 内分泌・代謝
良医への道3 医学概論、臨床推論、臨床入門、医学英語

3学年担当教員 萩原 弘一 教授

正解がない問題に立ち向かっていってください

鈴木洋通教授3学年は臨床医学に集中的に触れる学年です。まず臓器・系統を縦に見るのではなく、横断的に見ていきます。次に臓器・系統別、テーマ別の柱を立てる準備をします。臨床医学への入門と、各臓器・系統の専門的な知識への導入という位置づけです。
学習面では覚える事項の多さに驚くかもしれませんが、それを受容できるように自らの能力も向上していきます。精神面でも、医師になる自覚が自然に生まれてきます。男性は奇抜な髪形をしなくなり、女性も髪を短くしている学生が多くなります。臨床の場で患者さんと接する準備がだんだんとできてくるのです。
学生に望むのは、正解を求めるのが難しい医学的な問題にも怯むことなく立ち向かってほしいということ。たとえば治療が難しい病気の患者さんの決断や、医師の説明についての問題。こうした難しい問題を私たちと同じ目線で捉えていってください。

山田 明子 さん(現4年生)

QOLの意味について自分なりの定義づけができました

3学年を振り返っての写真3学年で印象的だったのは、「看護業務体験実習」です。看護師、検査技師など多彩な職種がチームとして患者さんを診る臨床を理解しただけでなく、それまで曖昧だったQOL(Quality of Life)という言葉に、自分なりの定義づけをすることができました。QOLとは、その患者さんにとって「これだけは譲れない」という核心の部分を守ることなのではないかと。医師が診るのは、病気でなく、患者さんです。そのためには医学を習得するだけでなく、人間として自らを深めていく必要があると感じました。キャンパスでは、授業以外でも人生の大先輩である先生から示唆に溢れたお話をうかがうことができます。 「ヒトの身体に詳しい人」から「患者さんを診ることができる医師」になるためにも、恵まれた環境だと思います。

4学年

臨床実習に対応できる力をに身につける


地域社会と健康

4学年の写真1職場や環境、地域社会における保健・医療・福祉・介護の現状を把握し、専門職種との連携や地域医療の重要性について学ぶユニットです。地域社会と健康に関する課題に関心を持ち、原因に関する知見や現在とられている対策を理解します。
医師として課題の解決方法を考えるための知識・技能・実践力を身につけるとともに、社会医学的・予防医学的な心を持ち、地域医療に貢献できる臨床医となるための素養を育みます。
実習では埼玉県立大学IP演習、地域医療・地域保健体験実習、調査解析実習のうち1つを選択。地域医療における課題の解決にむけて、専門職種が連携するチーム医療のために必要な知識・技能・態度を習得します。

臨床推論

4学年の写真2症例を通して、問題解決の筋道を考える「臨床推論能力」を養うユニットです。病態生理の説明のために、不足している情報を自ら収集して、推測した病態に関連づけて説明する能力を身につけます。また、病態に基づいた疾患名の推測、診断確定のための検査手順、提示された症例に対する基本的な治療方式も説明できるようにします。
臨床病理実習では、約10名のグループごとに実際の病理解剖例を担当し、臨床経過、肉眼所見、組織所見を解析。発症から死亡に至るまでの病態の推移や死因を考察し、未知の症例について症例報告として発表します。

臨床入門

4学年の写真35学年で行われる臨床実習を円滑に行えるように、基本的な臨床能力を習得するユニットです。
学生は少人数のグループに分かれて、患者さんへの対応や身体診察にあたって配慮すべき事柄を理解し、バイタルサインの測定、身体診察法(頭頸部診察、胸部診察、腹部診察、神経系診察)、心肺蘇生法、手洗い、ガウンテクニック、静脈採血などを習得。医療面接、問題志向型医療記録、電子カルテについても実習します。さらにシミュレーターを用いて、消毒・縫合・抜糸などの手技も習得します。

4学年カリキュラム

コース ユニット



ヒトの病気2 臓器別の病気 神経、感覚器、皮膚・運動器
統合的な病気感染 感染、免疫、腫瘍、画像、母体・胎児・新生児、小児、精神、救急・麻酔
社会と医学 疾病の予防と対策、地域社会と健康、異状死の診断
良医への道4 医学概論、臨床推論、臨床入門、医学英語

4学年担当教員 倉持 朗 教授

患者さんが教科書、しかもその、新たなページです

土田哲也教授4学年は、次の学年から始まる本格的な臨床実習の入口です。臨床医学の玄関に立つようなもので、それまで学んできたことを総動員する必要があります。カリキュラムの特徴が最もあらわれているのは「臨床推論」だと思います。実際に患者さんに触れて、「患者さんをみる」、とは何か、を考えます。我々が診ているのは疾患ではなく、さまざまな悩みや社会的な立場、経済的な状況を持った一人の人間です。学生はそれまでの人生でつかんできたこと全てを動員して患者さんを診なければならず、最初は或いはショックを受けるでしょう。
しかし疾患を担った患者さんと“出会う”ことによって、次第に考え方が深化していきます。患者さんを多面的に診るという態度が身につきます。そこから抽出した答えが間違っていても、再び“別の山をしっかり自分の足で登れる”ようになります。患者さんが最高の教科書で、しかもその、新たなページです。あなたは、その教科書の、よい読み手になるように頑張ってください。一生涯、この“学び”は続くのですから。

髙橋 駿 さん(現5年生)

チーム医療を体験して医師とは何か深く考えました

4学年を振り返っての写真4学年の学びで大きかったのは「医師として生きること」について深く考えたことです。そのきっかけとなったのは、埼玉県立大学と共同で行ったIP演習でした。看護師、理学療法士、管理栄養士など、さまざまな職種を目指す学生と一緒になって、チーム医療を体験しました。そこでお互いの職種を理解して協力すれば、自分が医師として患者さんにできることが何倍にも増えることに気づかされたのです。医師として生きるとは、チームの一員として患者さんの治療にあたること。“チームワーク”の大切さは、実習の成果をグループで発表するときも同じでした。一緒に実習した仲間たちとイメージ通りに発表ができたときは、大きな達成感を味わいました。

5学年

多彩な診療科で実習し、全人的医療について考える


Bed Side Learning(BSL)

5学年の写真1Bed Side Learning(BSL)とは、臨床の現場で患者さんと接しながら、常に「なぜ?」と考え、自分で学習し、それを解決していくことです。すべての診療科でBSLを経験することは、将来の進路決定や医師となったときの視野の広さに大きく貢献します。その点、本学には埼玉医科大学病院、埼玉医科大学総合医療センター、埼玉医科大学国際医療センターという国内最大規模の病床数を誇る病院群があり、原則的にすべての診療科でBSLを行えるのが最大のメリットとなっています。
学生は5学年の4月から12月にかけて、7、8名からなる小グループで各診療科をローテーションするため、一人ひとりに時間をかけて指導できるところも特長です。8月は夏季休暇ですが、「学生相互交換留学制度」を利用して海外の大学でBSLを継続したり、「課外学習プログラム」に参加して、学外の医療現場を体験することもできます。
BSL期間中は、各診療科と臨床実習推進室が連絡を密にとり、一人ひとりの学生に対して面談も含めて、きめ細かなサポートを提供していきます。

Clinical Clerkship(診療参加型臨床実習)

5学年の写真2BSLが終了すると、12週間のClinical Clerkship(診療参加型臨床実習)が始まります。学生は3つの診療科を選択して、それぞれ4週間ずつ12週間の実習を行います。そのうち8週間が5学年に配当されています。
学生はひとつの診療科につき4週間というゆとりある時間の中で、指導医の監督のもと、医療スタッフの一員として診療に加わります。そして患者さんからお話をうかがい、鑑別診断をして、検査計画、治療計画を立案します。それを通して、BSLで学習した知識を診断や治療に結びつける「プロセス」を学ぶのです。さらに、患者さんの社会的、経済的な背景も含めて診る、全人的な医療についても理解を深めます。
Clinical ClerkshipもBSLと同様に3つの埼玉医科大学病院群で行い、それぞれの病院の特徴を考慮して、実習する診療科を希望することができます。

5学年 カリキュラム

コース ユニット



臨床実習(BSL/CC) 血液内科、心臓内科・外科、呼吸器内科・外科、リウマチ・膠原病内科、消化器内科、内分泌・糖尿病内科、神経内科、腎臓内科、腫瘍内科、神経精神科、小児科、消化器外科(小児外科含む)、脳神経外科、総合診療内科(感染症科含む)、整形・形成外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、産婦人科、放射線科、麻酔科、救急、検査・病理・輸血、専門性の高い科*、特別演習、クリニカル・クラークシップ(1, 2)

*呼吸器外科、小児外科、リハビリテーション科より1科を選択する。

5学年担当教員 間嶋 満 教授

なぜ?と考えることで、現場があなたを鍛えます

間嶋満教授5学年の臨床実習は、すべての診療科を体験しながら4学年までに学習したことへの理解を深めるBed Side Learning(BSL)と、1つの診療科を4週間かけて合計3つの診療科で診療のプロセスを組み立てる力を身につけるClinical Clerkship(診療参加型実習)で構成されています。そこで頭においてほしいのは、「現場があなたを鍛える」ということ。臨床の現場で常に「なぜ?」と考え、もう一度教科書を読み返しながら、確実に自分の力にしていくことが大切です。そのように5学年を送れば、知識も、患者さんとの接し方も、医学を修得する態度も、見違えるほど成長します。実習の成果を高めるために、私たちも4週間ごとの振り返りのテスト、症例について考える演習を通して支援します。あなたが熱意を示せば、各診療科の指導医も時間を惜しむことなく教えてくれるでしょう。

戸田 麻衣子 さん(現6年生)

患者さんとの関わりの中で医師になる自覚が培われました

5学年を振り返っての写真1臨床実習も後半のClinical Clerkshipに入ると、実際に患者さんを担当して、指導医と一緒に診療します。患者さんとお話しさせていただいたり、指導医と治療法についてディスカッションするうちに、医師になるんだという自覚も強くなっていきます。ひとつの診療科につき4週間にわたり実習できるため、患者さんの入院から退院まで関われる機会もありました。鑑別診断、検査のオーダーなど一連の診療プロセスについて学ぶことができたと同時に、もっと勉強してしっかり診られるようになりたいという向上心も膨らみました。実習中に気をつけたのは、身だしなみを整えて、礼儀正しい言葉を使うということ。臨床の現場に出ることで、社会人としての責任ある態度も身につけることができたと思います。

「すぐれた臨床医を目指す」決意を示すエンブレム

臨床実習に参加する学生が腕につけているエンブレムは、4年間の学習を経て共用試験CBTと共用試験OSCEに合格し、晴れて臨床医学生となったことを示すものです。「臨床医学生認定式」(白衣式)においてこのエンブレムを授与された学生は、自ら白衣の腕に付けることで「すぐれた臨床医になる」という決意をさらに強くします。白衣式/エンブレム

6学年

学内外・海外の医療機関で実習しながら
6年間の総仕上げを行い、初期臨床研修の準備をする

advanced Clinical Clerkship

6学年の写真1学生が診療に参加する高度な臨床実習です。患者さんを受け持って指導 医と一緒に診療などにあたります。ほぼ初期臨床研修に近い内容で、学生はコミュニケーション能力、地域医療、チーム医療、リサーチマインドについて深く理解します。現在は学年の約1/6が学外で実習を行い、海外の大学を選択する学生もいます。さらに2014年度の入学生からは、4月から4週間ずつ2つの診療科で全員が必ず1つの診療科を学外で実習する予定です。学外で「advanced Clinical Clerkship」を実施することは、学生に幅広い選択肢を提供するとともに、指導医1名に学生1~2名という近い距離で深く学べることにもつながっています。また指導医と“人と人”としての関係が築かれ、人生の先輩としての言葉に、触発される機会も多く生まれます。

advanced OSCE

6学年の写真2「advanced OSCE」は、医学知識の応用力、理解に基づく臨床技能を評価する試験で、これに合格することは卒業の要件です。約14ヵ月におよぶ臨床実習を通して身につけておくべき臨床能力、すなわち模擬患者さんとの医療面接による情報収集能力、聴診ができるかなどの診療法、その所見の評価、さらには症例のプレゼンテーションなどが重要視されます。4学年の最後に行われる共用試験の「OSCE」に比べて実践的な内容となり、初期臨床研修医となった際のシミュレーションと捉えることもできます。

総合学習

6学年の写真3国家試験出題ガイドラインに準拠した症例提示形式の授業により、6年間の総復習と弱点の補強を行います。7月までは医療総論、内科総論/各論、9月からは専門性の高い診療科の授業を展開。卒業試験後には臨床実習の総チェック、必須の症例を提示し、病態、診断、治療を考えていく実践的な授業を展開します。これは医師国家試験では臨床問題が一般問題に対して3倍の配点があること、臨床問題の症例を勉強することが一般問題の準備を兼ねること、なにより医師となった際に求められる臨床推論能力を高めるためのシミュレーションになるためです。

6学年 カリキュラム

コース ユニット



臨床実習2 advanced クリニカル・クラークシップ
総合学習

6学年担当教員 茅野 秀一 教授

チーム力が合格へと導いてくれます

持田智教授6学年では「advanced Clinical Clerkship」を通じて、より高いレベルの態度・技能・問題解決能力等の基本的臨床能力を身につけます。さらに積み重ねてきた知識、考え方を整理・統合し、足りないところを「総合学習」で補います。
この1年間は、医学部6年間の総復習であると同時に、初期臨床研修への準備段階です。卒業時に、研修医に必要な社会人としての基本姿勢、医師としての職責、自ら学ぶ姿勢、医学知識の理解と習得について、十分に実践できることが到達目標です。
正規の授業や実習以外の重要なカリキュラムといえるものに勉強会班があります。学生が3~7名でグループを作り、国家試験合格にむけて勉強に励みます。それぞれの勉強会班には特定の教員がアドバイザーとなり、勉強方法や精神面、身体面のサポート、進路選択の助言などを行います。勉強会班とアドバイザーがタッグを組んで合格を勝ちとる“チーム力”が、6学年の学びの大きな特長になっています。

廣瀬 賢人 先生(現 研修医)

卒業後を見据えて「臨床への想像力」を磨きました。

6学年を振り返っての写真16学年は卒業試験、医師国家試験に合格する という大きな目標がありますが、その先の初期臨床研修を見据えて学ぶことも大切です。僕は「臨床への想像力」を磨くことに力を注ぎました。これは、いつも先を想像して検査や治療を決めていくこと。結果が出てから対応していたのでは間に合わないからです。また、advanced Clinical Clerkshipを通して解剖学と生理学の大切さも痛感しました。旅行にたとえるなら、解剖学は地図、生理学はその土地のルールです。どちらもわからなければ道に迷ってしまいます。6学年になると3~7名ごとの勉強会班をつくり、グループで学習しますが、詰込みは通用しません。毎日、仲間と励まし合いながらコツコツと予習、復習を重ねて、卒業試験、医師国家試験に臨みました。

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