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■2018年9月23日 「アレルギー・好酸球研究会2018」が開催されました。

 9月22日土曜日、東京千代田区の学術総合センターにおいて、「アレルギー・好酸球研究会2018」が開催されました。本研究会は80年代後半に、当時の獨協医科大学アレルギー内科福田健先生が米国メイヨクリニック医科大学から帰国され、日本に好酸球研究の技術をもたらしたことに端を発しております。そして当時同科教授であられた牧野荘平先生らによって1988年に設立された全国規模の学術集会です。当初はまさに好酸球に特化して、また製薬企業の全面的後援にて開催されていましたが、諸般の事情により、2013年以降は“民間移行”して医師主導型の学術集会として、筆者が代表世話人となって埼玉医科大学アレルギーセンターが事務局として、広く「アレルギー性炎症」をテーマとした学会形式の研究会として発展してきております。 本年度は日本大学医学部 IR・医学教育センター 免疫・アレルギー学の岡山吉道先生が会長をつとめられ、2つの招請講演と、29題の一般演題があつまり、100名以上の医師・研究者が集結する大変盛会の研究会となりました。

 はじめに岡山会長(写真上)が開会の辞をのべられたのち、午前中は好酸球の細胞生物学的研究などを中心とした一般演題の発表が続きました。当センター・呼吸器内科の内田義孝先生は、非常にまれな、GM-CSF受容体変異による肺胞蛋白症患者さんの好酸球の接着能力について検討され、GM-CFSには反応しないが逆にIL-3またIL-5による好酸球接着反応は増強されているという非常に興味深い発表をされていました(写真下)。

 本研究会はここ数年、欧米の巨大製薬企業さんにもご注目いただいており、ランチョンセミナー形式で、海外有名教授による教育講演の機会をご提供いただいております。本年度は、米国ミズーリ州セントルイス市のワシントン大学呼吸器内科教授であられる、Mario Castro教授がおいで下さいました(写真下)。筆者が司会をさせていただき、大量吸入ステロイドによっても好酸球性気道炎症が残存するタイプの成人重症気管支喘息における、各種の抗サイトカイン抗体療法の最新の知見について、素晴らしい御講演を頂戴いたしました。同先生は昨年の本研究会においでいただいた、筆者の恩師である米国ウィスコンシン大学のWilliam W.Busse教授などとも懇意であって共同研究者として活動しておられ、次回の来日時には埼玉医大にもおいでいただくことを約して、御講演のお礼を申し上げました。

 午後のセッションは時節柄?、近年注目を浴び始めているアレルゲン免疫療法に関する話題などをふくめ、アレルギー(好酸球)性炎症に対する治療の演題が活発に並びました。そのなかで、当センター内科外来を担当されている本学総合診療内科講師の小林威仁先生は、ドライパウダー粉末製剤の吸入ステロイドのみでは好酸球性気道炎症が充分に制御できない成人喘息症例においても、微細粒子ガス製剤の吸入ステロイドを併用することで、有益な抗炎症効果をあげることができることをご発表され、注目を集めていました。
 最後に特別講演として、東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター 健康環境医工学部門・教授の村上誠教授から、「脂質によるアレルギーの制御」についてのテーマで、大変に重厚で有意義な、素晴らしい特別講演を頂戴して、本研究会は幕を閉じました。
 本研究会は、アレルギー疾患における好酸球などの意義が非常に注目されている時勢からも、“民間移行”をとげて当センターが運営を司ることとなった2013年以降、かえって年々と盛会となってきている実感があります。
 明年の本研究会は2019年の10月5日土曜日に開催されます。本研究会の詳細につきましてはHP https://www.sec-information.net/eosinophils/data/announce.html をご参照いただければ幸いであります。「好酸球研究会」で検索していただいても、容易にでてくるとおもいます。以上、本センターにとっても重要な活動のひとつである「アレルギー・好酸球研究会」につきまして、本年度学術集会の御報告をさせていただきました。(文責:永田 真)

■2018年9月10日 日本アレルギー学会のふたつの「アレルゲン免疫療法の手引書」が改定されました。

 アレルゲン免疫療法は、アレルギー疾患に対する現存する唯一の原因治療であり、いわば体質改善的な治療として知られます。通常最低でも3年以上の施行を要しますが、ダニアレルギーによる気管支喘息や、スギ花粉症を軽快させます。喘息の治療を目的におこなっても、合併しているアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎まで改善することが利点です。スギ花粉症で春先に喘息が悪化するかたなどにも効果が期待できます。さらに免疫療法を行っていくと、その後の新規のアレルゲン感作が起きにくくなっていくこと、小児喘息での寛解率が高まることなどが知られます。これらは薬物による治療では期待しがたい効果です。アレルゲン免疫療法には注射法と、舌下法とがありますが、埼玉医科大学病院アレルギーセンターは全国でももっとも活発に、これらの治療をおこなっている施設です。
 今回、筆者がまとめ役を担当させていただき、当センターの上條篤耳鼻科教授(執筆時点では山梨大学准教授)、中込一之呼吸器内科准教授などが参画いたしました、日本アレルギー学会のダニアレルギーならびにスギ花粉症のアレルゲン免疫療法の手引書が、各々改定され公表されるに至りました。小児での適応が拡大したことや、またダニ舌下免疫療法製剤のミティキュアが、国際喘息ガイドラインで推奨されたことなどに対応して、この治療のエキスパートの国内各大学の先生方とご一緒に、改定させていただいたものであります。

 アレルゲン免疫療法は米国やヨーロッパ、また隣国の韓国などでも非常に活発におこなわれていて、国際的にはアレルギー診療の中心的アイテムともいえる重要な治療法です。この治療の正しい普及のためにもこれらの手引書をぜひご参照いただければとおもいます。すでに日本アレルギー学会会員には送付されましたが、一般の医師や医学生の皆さんなど向けに、学会のHPからも参照可能となる予定です。これらが患者さんたちのために有効活用されていくことを切に望みます。(文責 永田真)

■2018年9月7日 埼玉県アレルギー疾患対策事業・市民公開講座のお知らせです。

 大学病院としては全国でも最初にアレルギーセンターを設立していた埼玉医科大学病院は、アレルギー疾患対策基本法に基づく埼玉県のアレルギー疾患対策事業のなかで、今春から埼玉県では初のアレルギー疾患医療拠点病院に指定されています。
 この関係で、従来からの春季に県内を巡回して行っております日本アレルギー協会主催の市民講座に加えまして、県の事業の一環として、当院として独自の市民公開講座を、埼玉医科大学の施設を利用して開始いたします。
 その第1回目は、きたる2018年12月8日土曜の14時〜16時(開場13時30分)、埼玉医科大学かわごえクリニック(川越市脇田本町21−7、川越駅西口から徒歩3分)、にて開催いたします。駐車場はありませんので、公的交通機関をご利用くださるよう、お願いいたします。
 プログラムは当センター関連の若手の准教授・講師による3つの講義を予定しております。小児科の植田穣講師が「こどもの食物アレルギー」、呼吸器内科の中込一之准教授が「ダニアレルギーぜんそくとスギ花粉症のアレルゲン免疫療法」、そして皮膚科の宮野恭平講師が「アトピー性皮膚炎の最新治療」について、市民の皆さん向けのわかりやすい講義をしてくれることになっています。アレルギー疾患に苦しまれている患者さんや、そのご家族のみなさまなど、アレルギー疾患の正しい治療や管理を知っていただくためにも、どうぞご参加をご検討くださいますよう、お願いいたします。(文責 永田真)

■2018年6月26日 センター長が日本アレルギー学会学術大会会長に選出されました。

 2018年6月22日に千葉市幕張メッセにおいて、第67回日本アレルギー学会代議員総会が開催されました。その際の第70回日本アレルギー学会学術大会(2021年)の会長選挙におきまして、センター長の永田真(呼吸器内科教授)が同大会の会長に選出されました。患者中心主義での包括的なアレルギー診療と研究を目指し、オール埼玉医科大学で大会を成功させ、アレルギー疾患に苦しむ患者さんの救済へと繋げていきたいと思います。皆様何卒宜しくご指導のほど、お願い申し上げます。(文責 中込一之)

■2018年2月26日 アレルギー週間市民公開講座が開催されました

 埼玉県はいうまでもなくスギ花粉症の非常に多い県です。例年ちょうどその時期には日本アレルギー協会が主催し、当アレルギーセンターがバックアップするかたちでの市民公開講座を主催しております。2018年度の第24回アレルギー週間の埼玉地区の講座は、「アレルギー週間市民公開講座2018」として、2月24日土曜午後、熊谷市の市立市民ホールにおいて開催されました。アレルギーセンター長永田真が企画・司会を担当いたしました。
 会に先立ち、まず筆者がオープニング・リマークスを述べさせていただきました。そののち、まず「スギ花粉症」について埼玉医科大学耳鼻科・アレルギーセンター客員教授でおられ、現山梨大学耳鼻科准教授の上條篤先生が、花粉症の診断や病態、基本的なアレルゲン回避指導や薬物治療について、さらに最新のアレルゲン免疫療法である舌下免疫療法の話題までを含めて講義を担当されました。注目の舌下アレルゲン免疫療法につきましては、筆者が責任編集者をつとめた日本アレルギー学会の「スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き」の著者(制作委員)のおひとりでもあり、実際的な解説をていねいにされていました市民の皆さまに手を挙げて答えていただくなど、とてもなごやかで楽しい講義となりました。

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 ついで「気管支喘息」については熊谷市の地元といってよい、埼玉県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科医長の高久洋太郎先生から講義を頂戴しました。同先生も大学院時代は埼玉医科大学で研鑽されていた、当アレルギーセンターOBでもあります。喘息の病態やフルティフォーム®などを中心とした吸入ステロイド治療、とくに受動喫煙の影響や最近のいわゆる電子タバコなどもふくめて、たばこの害の重要性についてとくに力説されていました。
 最後に「食物アレルギー」について本学小児科教授でアレルギーセンターにおいても中心的にご活躍の徳山研一教授にわかりやすいご講演を頂戴しました。

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 15分の休憩時間の間に質問をかいていただいて集計し、ラスト45分間で各演者あるいは筆者がそれを読みながら回答する形式で、Q&Aのコーナーをもたせていただきました。非常に多くのご質問を頂戴しましたがとくに近年の傾向として、食物アレルギーに関連した活発なご質問が多かった次第であります。この会の2週前にNHK「がってん」でその特集が組まれたことも影響していたかもしれません。

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 この日はピョンチャン五輪がまだ開幕中であったにもかかわらず、50人以上の市民のかたのご参加がありました。どの講演も好評であり、また活発な質疑応答が行われ、約2時間半があっという間にすぎてしまい、ご参加くださった市民のみなさんにとっても、大変有意義な講座になったものと考えます。なお最後の本年度市民講座は杏林製薬株式会社さんがご支援くださったことに、感謝いたしたいとおもいます。 (文責:永田 真)

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